君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「お母さんと、何かあったのか? 」
栞の後ろから正和が聞く。

「おじさんは、お母さんの味方でしょう」
栞が、振り返ってブスッと答える。

「お母さん、君のことを心配していたようだよ」

「心配なんかしないわよ! 仕事ばっかりで、私のことなんか何もわかってくれない」
栞が、反発するように言い返す。

「親子だな・・・・・・」
正和が含み笑いをする。

「何がおかしのよ! 」
栞が不機嫌になって海を方を向く。

「笑ったりしてすまない。ただ・・・・・・昔君のお母さんも、今の君と同じように海を見ていたことがあった。そのことを思い出したんだ」
正和が、懐かしそうな顔をする。

「えっ!? 」
栞は、振り返って目を丸くした。
そして、ゆっくり立ち上がり、正和を見る。

やがて、思い切ったように「私、東京に行きたいの!」と打ち明けた。







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