君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「ねえ、良かったら弾いてみない?」
小田が頼むような言い方をした。

「えっ・・・・・いいの?」
敦子が遠慮がちに言う。

「敦子さんの演奏聞いてみたいの? 」
小田が甘えるような言い方をする。

「それじゃお言葉に甘えて・・・・・・」
敦子は電子ピアノの前に座って、一瞬、何を演奏しようかと考える。
チラリと竹中の顔を見て演奏を始めた。

演奏曲はサザンの『さよならベイビー』だった。

敦子は、軽やかな指の動きで鍵盤に触れているが、はっきりとした音色を出している。

敦子の演奏は、どこか人の感情みたいなものがストレートに感じられる。

「すごいわね・・・・・・」
小田が感動したように演奏に聞き入る。

「そうだな・・・・・・」
竹中も小田も言うとおりに、敦子の演奏に聞き入る。

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