君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「実は・・・・・・栞ちゃん・・・・・・中田に黙って・・・・・・東京に行こうとしていたんだ」
正和は歯切れが悪い言い方で言う。

「どうして、黙って行こうとしたの?」
静香は、栞に優しい口調で聞いていたが、目は厳しかった。

栞は、静香に対して話しずらそうに顔を下に向けたままだった。

「どうして、黙ってるの!」
静香の表情はきつくなった。

「真紀子が、東京にダンスのオーディションを受けちゃいけないと言ったんだろう。だから、黙って行こうとしたんだね」
静香は、栞の心を見透かすように言った。

「まったく・・・・・・そんな家出みたいなことをして・・・・・・」
静香が心配そうに言う。

その時、店の扉は開いた。三人は、いっせいに扉の方を向く。







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