君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「でも、ちょうど会えて良かった。ごれで、俺のお役目も終わりだね」
竹中がホッと案心したように言う。

竹中は、小田が店を閉店する時間だけ、敦子の相手をすることになっていた。妻の美和から、敦子と一緒にいることを見られたら、また変な誤解を招くことを恐れていたため、家を出て『津波』へとやって来た。小田も後から来ることになっている。

「敦子さんと、つもる話しもあるだろう。俺は、ひとりで飲んでいるから、どうぞ」
と、竹中は言って、カウンター席に座ろうとする。

「もう少し、彼女の相手をしていてくれないか? 」
正和が、竹中の背中に向って頼むように言った。

「えっ! 」
竹中が振り返り、けげんな顔をした。








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