君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「ねえ、おじさん。あの女の人とは、どういう関係なの? 」
栞は思ったままを口にした後、敦子の方を見る。

「えっ!」
唐突に、栞が突拍子もないことを言い出して、正和はドキリとする。

敦子も栞の言葉に反応して、正和の方に目をやる。
正和は、無意識に敦子の方をチラリと見る。

「栞ったら、変なことを聞くんじゃないの。あなたのおかげで、山本君は、大事なお客さんと会うことが出来なかったのよ。反省しなさい」

カウンターの中から、泡立つ生ビールジョッキーを両手に持った静香が、栞のことを注意した。静香は、優しく言っているようだが、目は怒っている。

再び、栞は静香の言葉でふさぎ込んだ。だが、栞は彼女が、正和にとって、ただの客ではないことを察した。




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