君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「真紀子に謝って、もう一度、東京行きを許してもらうんだよ」
静香が命令口調で言う。

「うん・・・・・・」
栞が小さく頷く。

「オレンジジュースでいいんだね?」
静香は、栞のことを許した様子で、優しい口調になった。

「うん」
栞は、静香に謝ったことで気持ちが楽になったのか、今度は笑みを浮かべて返事をした。

正和は、祖母がいたずらをした孫に、何かを言い聞かせているような光景で見つめていた。

静香が、ウーロン茶とオレンジジュースを、それぞれのグラスに入れて、カウンターの上に置いた。

急に店の扉が開く。
小田が急ぐようにして店の中に入ってきた。
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