君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「別に私は、いいんだけど・・・・・・でも、真紀子さん、ここに来るの? 」
小田が、わかりきっていることを確かめるように聞く。

「ああ、もうすぐ来るはずだ」
正和が答えた。

「小田ちゃん、ごめんなさいね。栞のことで、あなたにも迷惑をかけちゃって」
カウンターの中で、静香が両手を合わせて誤りのポーズをする。

小田が栞の方を見る。
栞はバツの悪い顔をする。

「でも、いいの?」
小田が、心配そうに正和に聞く。

「いいって、何が? 」
正和は、小田の言っている意味がわからずに聞き返す。

小田は、自分の言いたいことを理解していない正和が、少し苛立つように心の中で、”鈍感男”と、叫んだ後、
「わかった。私達は席をはずすね」と、言って、急ぐように竹中と敦子の席に戻る。
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