君だけに夢をもう一度 ~完結編~
突然、店の扉が開いた。
真紀子が店の中に入ってきた。

小田は困った様子で、真紀子を見る。

真紀子は、厳しい目つきで、栞のいる方を見た。

弁護士である真紀子は、裁判を終えて、すぐに栞に会いに来た。
グレーのスーツ姿で、長い黒髪を後ろを束ねている。
きりっとした表情が、出来る女を漂わせている。

「よお! 」
竹中が威勢よく、真紀子に声を掛けた。

「いらっしゃい」
そっけなく真紀子は、竹中と小田に挨拶をした後、敦子と目があった。
すると、一瞬だけ、真紀子の厳しい目がゆるんだ。

そんな真紀子の変化を、小田は見過ごさなかった。

真紀子は、敦子に会釈をする。
敦子も、軽く会釈で返した。
二人は、お互いに何かを意識しているように、小田には見えた、

真紀子は、栞のそばまで近寄る。

小田は、真紀子が来たので、仕方なくあきらめるように席に座った。






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