君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「山本君、今日はいろいろありがとう。栞を引き止めてくれて、今度何かお礼するわね」
真紀子が、正和に感謝するように礼を言う。

「いいんだ・・・・・・別に気にしないでくれ」
正和は、真紀子に気を使うように言った後、敦子の顔が見えた。すると、敦子に対して悪い気がした。

「栞、家に帰って話し合いましょう」
真紀子が命ずるような言い方で、栞を連れて帰ろうとする。

「いやよ! 」
栞が強く反発した。そして、正和の方を見る。目で母親を説得してほしいことを合図する。そのサインに正和は気づく。

栞の言葉で、賑やかな竹中の声が、ピタリと止まり、それに合わせるように、小田も敦子も、中田親子をながめるように見た。





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