君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「中田・・・・・・栞ちゃんは、ダンスのオーディションを受けたがっている。もちろん、今日の行動は、自分でも十分に反省しているようだ。ダンスへの思いはすごいと思う。オーデションのこと、許してあげたら、どうだろう?」

正和は、真紀子を説得するように頼むような言い方をした。

「山本君、栞に頼まれたのかもしれないけど。これは、私と栞の親子の問題なの。悪いけど、口だししないで」
真紀子は、優しい口調だったが、毅然とした態度でキッパリと言う。

「・・・・・・」
正和は、口をつぐんだ。
もしも、何かを言えば、言葉巧みに反論しそうな雰囲気がある。
『議論なら負けないわよ』と、言わんばかりに凄味みたいなものがある。弁護士である真紀子特有のものが、そこにはあった。






< 57 / 137 >

この作品をシェア

pagetop