君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「さあ、帰るのよ」
真紀子が、椅子に座ったままの栞の左腕を取って、無理やり立たせようとする。

「いやよ! ここで話しましょう!! 」
栞が、真紀子の手を振りほどき立ち上がる。

栞は、家に帰ることを拒む。真紀子と二人になれば、親子ケンカになってしまい、東京行きは許してもらえずに、ダンスをやめるようなことになるかもしれない。そのことを避けるため、栞は、ここを離れるわけにはいかなかった。

「私、どうしてもオーディションを受けたいの! 」
栞は思いを吐出すように言う。真紀子に強い眼差しで訴える。

「ダメよ」
真紀子が栞の思いを、はねのけるように言う。


「どうして、わかってくれないの!!」
真紀子の言葉に反発するように、栞が強く言い返した。






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