君だけに夢をもう一度 ～完結編～

いとしのエリー

敦子は、ひとりでタクシーに乗ってホテルに向った。
結局、皆が栞を探しに出た後、三十分ほどで店を出た。

初めは静香と会話をしていたが、やがて三人のサラリーマン風の客が店に入って来た。

静香が、その客の相手をすると、ひとりカウンターに座っている敦子は、時間の経つのが長く、どこか居たたまれない感じがする。
静香にホテルに帰ることを小田に伝えてほしいことを頼んで、敦子は席を立つ。

敦子はタクシーの後部座席に座り、運転手に行き先を告げて、携帯電話を取り出し、正和にホテルに帰ることをメールで伝えた。
その後、ぼんやり敦子は車窓の外を見る。路上には屋台は建ち並んでいて、人で賑わっている。

敦子は、先ほどの真紀子と栞の親子ゲンカのことを思った。
栞が、真紀子に言いこまれて、ふさぎこんでいる姿は、どこか昔の自分を見ているようだった。