君だけに夢をもう一度 ~完結編~
敦子はタクシーから降りて、栞の前をさえぎるように立つ。

栞が敦子の存在に気付くと、慌てるようにグルリと背中を向けた。

「今、ここで逃げちゃダメよ! 」
敦子が栞を呼び止めるように言う。

栞が振り返る。

「どうしてもダンスをやりたいんでしょう。だったら、続けるように努力しなきゃ」
敦子は、栞に近寄って励ますように言う。


「・・・・・・・」
栞は、意外そうに敦子を見た。初めて会った敦子のことが、ずいぶん前から自分のことを知っているような相手だと思えるような言いぷりをする。

「お母さんから、ダンスをやることを許してもらえるように、いい方法を考えるのよ」
敦子が、熱い思いでアドバイス的なことを言う。

急に栞のお腹が、グッと鳴る。
すると、敦子がニコリと笑う。

「お腹空いているのね。ねえ、良かったらラーメン食べない」
敦子が、目の前の屋台を見て言った。

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