君だけに夢をもう一度 ~完結編~
敦子は半ば強引に、栞の腕を取って屋台の中に入り小さな床机に座った。そして、すぐに正和にメールで栞といることを告げる。正和から、すぐに迎えに行くことの返信メールがくる。

「はい、お待ち!」
屋台の主人が、どんぶりに入ったラーメンを、敦子と栞の前に置く。

「いただきましょう」
敦子が栞に声を掛ける。

「いただきます」と、栞が答えてラーメンに箸をつける。

「美味しい」
敦子が感激したように言う。豚骨味の細めんで歯ごたえがある味だった。

「うん」
栞は、よっぽどお腹が空いていたのか、頷くだけで味の感想は言わずに、ラーメンをすする。
その姿を見て、敦子は栞を愛らしく思えて微笑した。

栞は、あっという間にラーメンを平らげた。

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