君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「ねえ、さっきの話の続きだけど、どうやってプロのミュージシャンになったんですか? 」

栞は、敦子が、プロの音楽家で芸能の仕事をしていることに興味も持った。できるなら、自分もプロのダンサーを目指している。どうやったら、プロとして成功できるのか、秘訣みたいなものを聞きたいと思った。

敦子は、中学生時代にサザンの『いとしのエリー』を聞いて影響を受けて、プロのミュージシャンを目指し、上京して大学に行って、正和と出会ってバンドを組んだこと。そして、卒業後は教員になったが、音楽の夢を捨てきれずに、レーコド会社のオーディションを受けてプロになった。そのことをラーメンをすすりながら、順序を立てて説明した。

「すごい!」
栞は、敦子を尊敬の眼差しで言った。だが、すぐに落胆したように肩をすくめる。

「おねえさんはいいな・・・・・・私なんて、お母さんに反対されて、今のままじゃ、プロはともかくダンスを続けることも難しいわ」
栞は目を伏せる。

「夢を叶えたいなら、親の言うことも聞くべきよ」
敦子が強い口調で言った。







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