君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「心配したよ」
正和が、栞の顔を見るなり案心したように言って屋台に入る。

「おじさん、迷惑かけてごめんなさい」
栞は、正和に頭を下げる。

『・・・・・・・!?」

栞の態度は意外だった。母親とケンカをして、ブスッとしているか、落ち込んでいるかと正和は思っていた。しかし、そんな感じを受けない。むしろ何かふっ切れた様子だった。

「家を飛び出すなんて、よくないと思う。それに」
正和が栞に真顔で言う。そして、一度言葉を切って、「お母さんに言ったことも、よくないと思う。本心から言ったんじゃ、ないんだろう? 」
正和が言いずらそうに、栞に聞いた。

栞が、ゆっくりと頷く。

「だったら誤って、お母さんと仲直りするんだね。お母さんは、誰よりも君の理解者になる人だからね」

「わかりました。お母さんに謝って、もう一度ダンスのことを頼んでみます」
栞が反省したように言う。


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