君だけに夢をもう一度 ~完結編~
ようやく、正和と敦子は二人きりになれた。
敦子の宿泊先ホテルのバーラウンジで飲むことにした。
屋台からホテルは、近い場所にある。そのため二人は歩いて向かった。

シャッターの下りた人通りのないアーケード商店街を、二人は話ながら歩いた。

「さっき栞ちゃんに何か言ったのか?」
正和が気になったように敦子に聞く。店を飛び出した時と変わって、栞は元気を取り戻していたことが不思議に思えた。

「何も言っていないわよ。ただ一緒にラーメンを食べただけよ・・・・・・お腹いっぱいになったら機嫌が良くなったんじゃないの。あれぐらいの年齢の女の子は複雑だから」
敦子は何食わぬ顔で答えた。

「そうか・・・・・・」
満腹になったぐらいで、機嫌が良くなるなんて、栞はそんな子供でもない。しかし、理由はどうあれ、真紀子と仲直りできて良かったと正和は思っていた。

アーケードを抜けると、目の前にホテルが建つている。



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