君だけに夢をもう一度 ~完結編~
昨夜、栞を見送った後、正和と敦子は二人きりになったはずだ。
その時、敦子はライブに参加したいことを、正和には話したはずだ。だが、正和は敦子がライブに参加することを拒んだのだろうか。
そのため、敦子は今日の演奏の練習を遠慮したのか。

小田は、正和に相談もせずに余計なおせっかいをして、敦子に迷惑をかけたのかもしれない。それが本当ならば、小田は心が痛む。

「敦子さんは、どうして、ここに来ないの? 」
小田は、恐る恐る正和の気持ちを確かめるように聞く。

「彼女、ここに来ることになっていたのか・・・・・・?」
正和が眉をよせて聞く。

「男が訪ねて来たんだよ」
竹中が、真っ先に答えた。

「えっ! 男って!? 」
小田は、目を丸くした。

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