君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「男の人が現れたって? 」
小田は正和と同じように、眉をよせて聞き直した。

「昨夜、中田親子と別れた後、彼女とホテルのバーラウンジに行こうとした時、突然、現れたんだ」

「それで、その男が彼女を連れ去ったということなんだ」
竹中が、話しに割り込んで結論めいたことを言う。

「連れ去ったの?」
小田が首を傾げる。

「そういう感じじゃなくて・・・・・・一瞬、彼女はその男性を見た時、驚いた様子だった・・・・・そして、彼女は相手の男性に近寄って、何か話をしていた。その後、自分の所に戻って来て、大事な話があるからって、男性と一緒にホテルから出て行ったんだ」

正和も何が起こったのか、わからないような口調で言う。

「それじゃ、彼女の方も嫌々ではなさそうだな・・・・・・」
竹中が推測するように言う。

「そうなの・・・・・・」
小田は、自分のことが原因で敦子がいないのではない。それがわかると、ホッとしたように椅子に腰かけた。しかし、すぐに敦子のことが気になった。




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