君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「そろそろ、練習始めようよ」
浜田は、涼しそうな顔をしてドラムの設置した椅子に腰掛けた。

浜田は、夜勤明けで練習に参加している。昼間の時間は眠くて仕方ない。早く練習を終えて帰って寝たいのが本音である。そのため、会話には参加せずに練習の準備を始める。

「そうだな。自分も帰って仕事だから、そろそろ始めよう」
竹中のおしゃべりは長い。それを聞き入ると、かなり時間のムダになる。そのことを察したように、正和も浜田に同調するように、エレキギターを手にした。

竹中も正和の姿を見て、椅子から立ち上がり演奏の準備を始める。

小田は、ぼんやり立ったままだった。

「小田・・・・・・始めるぞ」
小田の姿を見て、正和が声を掛ける。

「ねえ、正ちゃん、敦子さん、その男の人と一緒にいて大丈夫なの? 」
小田が、正和に近寄って、気になることを素直に聞いた。
< 81 / 137 >

この作品をシェア

pagetop