君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「起きたかい」
そう言って男は、手にしていた買い物袋をカウンターの上に置いた。


男は小柄で半袖のシャッにジーパン姿だった。所々に白髪が有る黒髪をオールバックにしている。年齢的には、五十代後半に思えるが、それよりも若くも見える。

その男は店のマスターである。
敦子は、店で男に飲み物を注文したのを覚えていた。

「申し訳ありません。昨夜はいろいろご迷惑をおかけしました」
敦子がすまなそうな顔で、男に頭を下げた。

「なかなかの飲みぷりだったよ。突然、閉店前に入ってきて、ウイスキーのロックを三杯一気に飲むなんてね・・・・・・・」
男は思い出すように言って、ニコリと微笑んだ。

「すいませんでした。みっともないところをお見せしやって・・・・・・」
敦子はバツが悪いように言う。

「お冷でも飲むかい? 」
男が敦子に気を使うように聞く。

「ええ、いただきます」
敦子は、苦笑いしながら返事をした。


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