君だけに夢をもう一度 ~完結編~
「それから朝方、一度ここに来たんだけど、その時あなたは、まだ寝ていたんだけど、携帯電話が鳴っていたよ」
男が、敦子のバッグの方へ目をやり教える。

「あなたのことを心配している人からじゃないかな。何度も鳴り続けていたよ」
男が気にかけるように説明する。

男に言われて、敦子は立ち上がり、ソファ前のテーブルまで行く。
テーブルの上に置いてあるトートバッグを手にして、携帯電話を取り出した。
見ると、着信履歴が残っている。
電話の相手は、正和、小田、小野寺からだった。

小野寺というのは、昨夜、突然現れた男だった。


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