君だけに夢をもう一度 ~完結編~
敦子の体は、汗でベタついた感じがして気持ち悪い。
とにかくシャワーを浴びたいと思った。

しかし、ホテルに戻るわけにもいかず、歩きながらいい方法がないかと考えた。
ふと、変装してみればいいかもしれないと思いついた。
そう考えてつくと、周りに洋服屋がないかと見渡した。
だが、知らない間に住宅が建ち並ぶ下町を歩いていた。

敦子は土地勘がないため、道に迷ったらしい。
仕方なく来た道を引き返そうと歩き始めた時だった。
敦子が歩く背後に、車がゆっくりと徐行してきた。
車は白のセレナだった。

「ねえ!」
助手席のウインドーが開いて、運転席から真紀子が弾むように声を掛けた。



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