ホワイトデー・アフター

「え、いや、その…部活終わった?」


「うん?終わったけど。」

不思議そうな顔して彼女は俺の顔を見つめた。

やめろ、そんな見るなよ。
顔が熱くなってくるんだよ、クソ。

最近全然会話してなかったのに…
どうして君はこんなに普通に話せるんだ?

俺は、君の言葉ひとつひとつに胸がバクバクしているのに。


「実はね、私吹奏楽部の部長になっちゃってさ!いつも先生と打ち合わせしてから帰るから、私だけ帰りの時間遅いんだー。」

「そ、か。大変だな。」


『お疲れ様』
そんな気の効いた一言も言えない俺に、彼女は嫌な顔一つせず話を続ける。


「…それにしてもやっぱり外は寒いね!吹奏楽部は室内だからさぁ。帰りキツイんだよね。温度差にやられる!」

彼女はアハハ、と笑いながら楽しそうに話す。

「そ、そうだよな。」

相槌しか打てない、ヘタレな俺。


「そういえば、友達待ってるの?でも今日はもうサッカー部とバスケ部しかいなかったよ?」


「あ、いや。その…」


この先の言葉が出て来ない。
何て言ったらいいんだ?
何が正解なんだ?




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