歳の差レンアイ、似た者同士。
女の涙に弱いオレは、どうしたらいいか分からずうろたえる。

「あの、荻原さん…?」

今のはオレが泣かした?

ナースの視線が痛い…

いや、オレじゃないっしょ!?

ハンカチとか粋なものは持っていないから、その辺にあったティッシュを箱ごとつかむ。

「ごめん…悪かった…」

意に反して謝っている自分がいる。

ティッシュを2、3枚乱暴に出して、うつむいた荻原紗英の手に押し込んだ。

「…っ、わたしっ…」

小さくつぶやいた荻原紗英。

「いや、いい!!言わなくていいから!!言いたくないことの一つや二つはあるだろう?」

言葉をさえぎって、気を利かせたつもりだった。

なのに…


「自分で聞いといて何よ!?」


……えぇーーー!?


女って生き物はつくづく謎だと思ってきたけど、ここまで謎が深い女は初めてだ。

扱い方がわからない。

捕まえようと思うほどに、するりと手の平から逃げていく。

放っておくと居なくなりそうな危うさ。

そんな不安定な存在感が、狩猟本能をかきたてるんだろうか?



オレは既に、このタコ女に取りつかれてしまっていたんだ。
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