歳の差レンアイ、似た者同士。
「カノジョとは長いの?」

「いえ、去年からなので」

「ふーん」

「めっちゃカワイイんですよ」

「なに!?自慢かよ!?」

「軽く自慢です」

なにを抜け抜けとぉー!!

この野郎!!

教えてもらう分際でありながら、自慢話だと!?

間違ったこと教えてやるー!!

そんな黒い画策を考えていたとき、PHSの呼び出し音が鳴る。

「はい、心外の伊崎ですー」

電話の相手は、救急外来だった。

『数日前に荻原紗英さんって患者さん、診察されてます?』

ドキっとした。

まさか…何かあったとか?

『胸痛を訴えて来られてるんですが、何も話してくれなくって…』

オレが行ったとしても、きっと同じ結果だろう。

荻原紗英は何も話さない。

それでも、いてもたってもいられなかった。

「研修医!医局に戻ってこの本でも読んどけ!」

たぶん道重が置いて行っただろう分厚い専門書を手渡して、救急外来に走った。

きっと命に別状はない。

自然治癒することが多いのだから、何の問題もないはずだ。

それでも、

少しでも彼女の力になれるのなら…

そう思って走った。
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