歳の差レンアイ、似た者同士。
「…先生、ヒマなの?」

それが第一声だった。

救急外来を出て、病院から大学へ抜ける庭へ連れてきたんだ。

救急の患者なのによ。

「ヒマじゃねーよ!オレは一番下っ端だからよぉ、毎日雑用が山ほどあるんだ。OLでいうところのお茶汲み係ってとこだな」

「…ふーん」

ベンチに座った荻原紗英は、さっき手渡したコーラの缶を不思議そうに眺めていた。

オレはコーラ2本分の釣銭をポケットに突っ込んで、勢いよくタブをあける。


__プシューーッ!!


「のわぁっ!?」

いきなり爆発したコーラを慌てて遠ざける。

「サイアクじゃね!?ほら、半分になってんじゃねーかぁ」

荻原紗英を振り返ると、笑っていた。

初めて見た。

笑顔。

「先生バカだねぇ」

「はぁ!?」

「さっき自分で振ってたじゃん」

「うそ、無意識だ…」

いつもコーヒーばっか買うからか、そのクセが出たな…。

女子高生にコーヒーを買ってやるってのも微妙だな、なんて思いながらコーラを選んだんだよ。

「くっそぉー…」

まだ笑ってる荻原紗英を見ながら、半分になってしまったコーラを流し込む。

…うまい。

シュワっとする。

生ビールが飲みたいぜ。
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