歳の差レンアイ、似た者同士。
第2章 オレの秘密、君の秘密。

ドクターのお仕事

熱い。

すげー熱い。

なんだこの灼熱地獄はっ!?

「伊崎、もっと視野確保しろ」

「あ、はいっ」

「ちげーよ!そこじゃない!吸引しろっつってんだよ!」

「すみません…」

ただいま手術中。

心臓外科医1年生のオレは第2助手。

このライトの熱もそうだけど、執刀医の先生も熱いんだよな…。

心臓外科医は短気が多いっていうのも事実。

オレも例外にない。

心臓外科医に向いてるかどうかは別として、だ。

「あと閉胸しとけ」

「お疲れさまでした!」

第1助手の先生と残って、地味な作業。

いつになったら執刀医になれるのか…

「伊崎先生、グラフト採取上手いね。感心したよ」

「そうですか??」

「摘出までが早いし。グラフト採取が完璧にこなせるようになれば一人前だ」

「…ありがとうございます」

心臓外科医の寿命は短い。

やっと執刀医になれた頃には、すぐに老眼で細い血管が見えなくなる…。

死んだじいちゃんが言ってたなぁ。

< 17 / 79 >

この作品をシェア

pagetop