歳の差レンアイ、似た者同士。
慌てて心のなかで訂正する。

これは、医者としてだ!

患者を見捨てるようなことは出来ないからだ!

「…とにかく!一度診察に来い。治ってんならそれでいいし」

これ以上喋ると、余計なことを言いそうだ。

帰ろう。

直接言えただけで満足だ。

直接会って無事を確認できただけで。

「せ…先生」

…って!

呼び止めんなよ!?

「怒った…?」

「怒ってるよ」

「…ごめんなさい」

「反省したなら診察に来るんだな」

急に謝った荻原紗英にドギマギしている自分がいた。

それでも、できるだけ冷静さを保とうとした。

「いつ?」

「なにが?」

「いつ行ったら担当なの?」

「だれが?」

「伊崎先生」

……!!

はぁ!?

待て!!

落ち着けオレ!

そ、そういう意味に取るには早すぎる!

患者として見るって決心したばかりだろーが!

「オレなんかより、ベテランの先生のほうが信頼できるから」

そう言って逃げた。

なのに…
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