歳の差レンアイ、似た者同士。
そうは言っても…

診察室の外には患者の列が続いているわけで、投げ出すわけにもいかないんだよなー。

「次の方どうぞー」

相方のナースは下っ端のオレに“早くしろ”的な圧力をかけてくるし、居心地が悪いったらありゃしねえ。

ちっ…ナメやがって…。

サクサク仕事終わらしてぇんなら、カルテをさっさと出しやがれ!


__2時間後


ようやく最後の患者。

「荻原さーん、荻原紗英さーん」

例の意地悪ナースがワントーン高い声で待合室を呼ぶ。

…だから、先にカルテを渡しやがれ!

心のなかで毒づきながら、自分で取りに行く小心者なオレ。

“荻原紗英”ね。

初診患者だな。

えーと今回は…学校の健診でひっかかって精密検査か。

…学校、ねぇ…。

ふと視線を上げると、ちょうどドアから入ってきたところだった。

「こんにちは。今日はどうされましたか?」

お決まりの文句を、営業スマイルと共に。

…。

あれ?

無反応?

表情を伺っていると…

「どうもしませんけど」

と、無表情で言った。

この子キレイな顔してんのに、無愛想すぎてもったいねーなぁ。

「そうだよねぇ~、ただ健診にひっかかって来ただけだもんねぇ」

笑って軽く流そうと思った、そのとき。

「…バカにしてんの?」
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