歳の差レンアイ、似た者同士。
「お母さんとかには“秀ちゃん”とか呼ばれてたの?」

「え?あー…そうだなぁ…小さい頃は呼ばれてたかな…」

「って、なんで赤くなんの!?もしかして照れてる!?」

「照れてないっ!!」

“秀ちゃん”ね。

だって…恥ずかしいじゃん!?

よくわかんねーけどさっ!

そんな風に年下の彼女にからかわれるオレって、どうなんだろ。

「秀介くん」

「…はい?」

「あれ、照れないんだね」

「大人をからかうな」

「なんだー、つまんないのっ」

ぷいって頬を膨らませて拗ねて見せる彼女。

そういうところ、子供っぽいけどカワイイなって思う。

思わず笑ってしまう。

「なによぉ!?」

「ううん、なんでもない」

今まで付き合ってきた彼女は、恋愛の達人レベルの子ばかりだった気がする。

“次期病院長の嫁”の座を狙って、色んな手を使ってオレを落としにかかってきた。

色んな女の戦いを見てきたし、女って怖いって思った。

だから、純粋にオレを慕ってくれることが嬉しかったんだ。

地位とか、肩書きとか、そんなの抜きにしてオレを見てくれる。

それだけで十分なんだ。

「ねぇねぇ、秀介くん」

「なんですか?」

「今度どこか行きたいなー」

「どこ?」

「んー…ぶらぶらしたい」

「宿題が終わったらね」

「えーっ!?超イジワル!!」

「イジワルで悪かったな!」
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