歳の差レンアイ、似た者同士。

レールの上で

夜、メシを食いに外に出たとき。

ケータイが鳴る。

ディスプレイには“実家”の文字。

はぁ~…めんどくせーなぁ…。

「…もしもーし」

「秀介っ!?」

「なんだよ…今からまだ仕事」

「…っお父さんが…っ!!」

泣きそうなお袋の声。

何かが起きているのがわかる。

親父がどうしたっていうんだ…?

「おねがい…っ、帰ってきて…!!」

…なにが起きてんだ?

帰らないわけにはいかないと思った。



夜中、院長秘書の車が地元の駅に迎えに来ていた。

「秀介さん、お久しぶりですね」

オレが高校生の頃から親父の秘書をやっている田島さんは、いかにも大人の男。

落ち着いた雰囲気が秘書って感じだ。

「親父がどうしたって?」

「突然意識を失われまして…ここ最近は特に体調のほうがすぐれない様子でしたから」

「仕事のしすぎなんじゃねえの?」

「秀介さんはどうですか?」

田島さんは運転しながら、バックミラー越しに後部座席のオレを見た。

…この人、やっぱやり手。

人を良く見てんだよなぁ。

「院長と同じで、秀介さんも、自分を大切にしたほうが良いと思いますよ?」

「自分を、ねぇ…」

田島さんの様子から、親父はそんなに重症じゃないってわかる。

ただ、ここに着くまでにも色々と考えていた。

もしも親父に何かあったら…

オレ、帰って来ないといけないのか?

継がなきゃいけないのか?
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