歳の差レンアイ、似た者同士。
どうせまた、妹のダンナに病院を継がせるだのなんだの言うんだろ?


「なんだよ…」


親父は持っていた書類から目をはなして、田島さんに目配せをした。

田島さんは一瞬表情を硬くした。

それでも、その一瞬後にはまた元通り、人当たりのよさそうな微笑み。

持っていたバッグから1枚のCD-Rを取り出して、親父に手渡した。

そしてそれは、俺の手元にやってきた。

なに?

嫌な予感がした。

ラベルには“茅島病院”の文字。


患者名:伊崎 秀隆

収録内容:頭部CT画像×2
     頭部MRI画像×1


親父は何も言わなかった。

だから俺も何も言わない。

“察してくれ”ということなのか?

妹は首をかしげている。

きっと何も知らないんだろう…。

黙って受け取って部屋を出た。

ドアを閉めた瞬間、廊下の静けさとは逆に、急に鼓動が速くなる。

…なんだよ…!?

立ち止まって、もう一度CD-Rを眺めてみたけど、間違いなく親父の名前。


「…秀介さん?駅まで送りましょうか?」


後から追ってきた田島さん。

俺の様子を見て、すこし小さめの声で聞いてきた。


「いえ…やっぱり今日は実家に泊まります。あと、妹とも話したいし…」

「美波さんには…」

「秘密にしておけって?」

「…院長はそのようにと」


そんなの知ったことか!

秘書は知ってて、なんで実の子供が知らなくていいんだ…!?

そういうことに腹が立って、また親父に嫌悪感を抱いた。


「タクシーで帰ります。田島さんも、夜遅くまでありがとうございました」


俺の足はまた病室へ引き返していた。

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