歳の差レンアイ、似た者同士。
仕事を終えてケータイを見ると、妹からの着信履歴。

あいつ、親父を説得するとか言ってたけど、絶対に無理だぞ。

あのガンコ親父、手術を受けたくないって言ってるんだから…。

かけ直す気にもなれず、そのままポケットにケータイをつっこんだ。


「いざきせんせー」


顔を上げると、病院関係者入口の外にサエの姿。

ギョッとして思わず腕を引いて暗がりに隠れた。


「…っなにしてんだよ…!?」

「なにって、待ち伏せ」

「今何時だと思ってんだ!?」

「んーと、時計持ってない」


正解は、夜の11時です。

ホントびっくりさせられる。


「秀介くん電話しても出ないし」

「仕事してんだから無理っ」

「ホラそうやって“仕事、仕事”言う。私、遊ばれてんのかなーって」

「そういうわけじゃない!」


全否定。

確かに、色々あってサエのことを放りっぱなしにしていたのは事実。

それは悪いと思ってる。


「ねぇ、私と秀介くんって、どういう関係なの?」

「…どういう…?」

「付き合ってんのかな?そもそも、付き合うって何?」


その口調は、怒ってるわけじゃない。

ただ、氷のような笑顔で、淡々と。

本心が見えない。


「だいたいさ、秀介くんと私、並んでたら恋人同士に見えるのかな?」


グサリ。

なんか胸に刺さった。


「…私は好きだよ?なんかわかんないけど、イザキ先生のこと」

「…だから、先生って言うなよ」

「じゃあ秀介くん、キスしてくれる?」
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