歳の差レンアイ、似た者同士。
「…サエ…?」


恐る、恐る、声をかけた。


「見ないでよっ!!」


突き飛ばされる勢いで、サエのカバンが俺の腹に当たる。

いってぇ~…

けど、放っておくわけにいかない。

うつむいたサエの髪にそっと触れた。


「…うう…っ」


ボロボロと涙をこぼしながら、サエは両手の拳で俺を叩いた。

でも、それは力無い。


「…ごめんな、なんか、放置してて」


気まずい。

だからとりあえず謝る。

俺のせいだろうって思って。

サエはうつむいたまま、嗚咽を漏らしながら泣き続けている。

どうしたらいいか分からなくて、自然とサエの肩を引いて抱きしめていた。

初めての、この距離。

こんなときに不謹慎だけど、女の子の香りがしてドキっとした。


「…俺のせい、だよな」


サエは、俺の腕の中でふるふると首を振った。

あれ?

じゃあどうしてだ?


「…居場所がないの」


もう少しで聞き逃しそうになるくらい小さい声。

でも、確かに聞こえた。

居場所がない。

そう言ったんだ。


「家にも、学校にも…」


鼻の奥がツンとなる。

なんで俺、泣きそうになってんだ?

……それって、

俺も同じだからだ。



< 68 / 79 >

この作品をシェア

pagetop