歳の差レンアイ、似た者同士。

親父との確執

あれからもサエは、時々現れて俺の家に泊まって帰る。

俺は敢えて何も言わずに泊める。

いつか、言い出さないといけない。

そう思いながらも言い出せずにいる。


『お兄ちゃん、お父さんが心配じゃないの?』


電話の向こうで、そう怒ってるのは妹。

実家では嵐が巻き起こっていた。

親父は相変わらず手術を拒否しているし、親父のあとを継ぐのは誰かって揉めている。


「心配じゃないわけじゃないけどさぁ…」

『お兄ちゃんがそんなだから、お父さんも死んでも死にきれないんだよ』

「死ぬとか言うなバカ。良性腫瘍だって言ってんじゃん」


強気な妹にはいつも振り回される。

一応良家の子女ってことになってるくせに、やることは大胆で大雑把。

伊崎家の血は争えない。
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