秀才くんに教えてあげる
第1章
学級委員は担任のパシリ
―実加子side―
秀才というのは……どうも普通の人間とは考え方が違うらしい
「……で?その秀才くんを登校させろ…と?」
目の前に居る無精髭を生やした富弥[とみや]先生が苦笑いを浮かべて私を見上げた
何なんだその顔は……
富弥先生は椅子に座っているため、立っている私を見上げる形となる
「そうなんだよ…『何も学ぶ事がないんで』とか言って学校に来ないんだよなぁ……」
“何も学ぶ事がない”!!?
何てこった……、学校の存在を否定しやがった
しかもサラっと天才発言にも聞こえる
学校でも家でも真面目に勉強して、あんたに勝てない人間が居るってのに……
「凄い人なんですね、ってか何で私が?」
「同じクラスだろ?しかもお前……学級委員だし」
富弥先生はそう言いながら、秀才くんの家の住所をメモし始めた
どうやら拒否権と言うものは存在すらしないみたいだ
権力というのは本当に恐ろしい……
「先生が行けばいいじゃないですか」
「いやぁ〜、先生も何かと忙しくてねぇ……」
「絶対に面倒臭いだけでしょ」
「あ、バレた?」
………ムカつく
その語尾に星が飛びそうな言い方が心底ムカつく
私は怒りをとりあえず抑えた