秀才くんに教えてあげる
まずは……自己紹介した方がいいよね…?
『えっと…橘くんと同じクラスの座木 実加子[ざき みかこ]と言います』
『……同じクラス?』
橘くんは怪訝そうな顔で首を傾げた
『そう、担任の富弥先生に橘くんを登校させるように頼まれたから来たんだけど……』
私は橘くんの様子を伺いながらポツポツと言葉を繋ぐ
そんな私の様子を気にも止めず橘くんは「あぁ…」と言葉を漏らした
しばしの沈黙の後、口を閉ざしていた橘くんが口を開く
『とりあえず上がって、散らかってるけど』
橘くんはそう言うと、玄関を開けたままスタスタと中へ入っていった
え、ちょっと待って……!
は、入るの!?
ってか、入っちゃっていいの!?
『……何してんの?』
『え!?』
玄関でオロオロしている私を見かねて橘くんが戻ってきた
そして……
『………!?』
橘くんは私の腕を掴んでスタスタと家の中に入っていく
私は驚いて、ただ呆然と橘くんについていった