秀才くんに教えてあげる
決め付けた様な言い方に要はこめかみをピクッと動かした
『俺は実加子をリード出来る』
『今時さぁ…男がリードするなんて古いんだよ、優しい人がいいに決まってるでしょ』
押し黙る要と対象的に得意げに微笑む晴くん……
兄弟なのに性格は正反対だ
両者睨み合っている間に、私はゆっくりと2人から離れていく
ややこしくなる前に…ここから去ろう、うん……
ゆっくり…ゆっくり……
ゆっくり…ゆっ……
『あれ?実加子ちゃん…どこに行くの?』
……ギクっ!
私は歩みを進めていた足を止める
『えっとぉ……外?』
『知ってるよ、僕達と一緒に帰るでしょ?』
私に近寄って、下から私の顔を覗いて顔を傾げる晴くん
顔が近いよ……!
私は晴くんの視線から逃れるように顔を背けた
『一緒には……』
『実加子は橘[たちばな]の家に行くんだと』
私が返答に困っていると要が近寄って口を開いた
しかもかなり不機嫌そうに
『橘……?』
晴くんが手を顎の方に持っていって考え込む
『橘……あぁ、噂の秀才くんか』
答えが出たらしく晴くんがゆっくりと顔を上げる