秀才くんに教えてあげる
モデルルームでしょ、コレ
『家、間違えた……』
私は白くてキレイな家の前に立ってポツ…と独り言を漏らした
この台詞3回目……
私は手元にあるメモを睨みつける
この住所を辿ったら、この家にたどり着く訳だけど……
『モデルルームじゃん……』
目の前にたたずむ家は正しくモデルルームそのものだった
こんなキレイな家に住みたいよねぇ……
私はそんな事を考えながら、またメモを見直して秀才くんの家を探す事にした
ふと…オシャレなネームプレートが家の扉の右側に取り付けてあるのが見える
モデルルームなのに…名前……?
私はそっと近づき書いてある名前を読み上げる
『………TACHIBANA?』
TACHIBANA……?
タチバナ……?
た、橘ぁぁぁぁ〜!!!?
『家か!!コレ!!』
私は思わず大きな声をあげて慌てて口を塞いだ
道を歩いている親子が私を見ている
あ、お母さんが子供の目を押さえて「見ちゃダメよ」って……
……完璧に不審者扱い
私は平然を装うため、わざと1度咳ばらいをした
気を取り直して……
私は扉の横にあるインターホンに手を伸ばした
うわ……緊張する……