【短】瞳の魔法

安岡 真(ﾔｽｵｶ ﾏｺﾄ)18歳
普通の高校３年

それなりに色んな経験もしてきたし、今の生活に困っているわけでもない



ただ…

ただ少し何かが足りない

いつもの代わり映えのしない毎日に何かがあれば
意味もなくそんな事を考えながら学校への道を歩いていた



冷たさをまし始めた秋の風が俺の横を通りすぎる
冷えた手をポケットに突っ込みいつもの風景を眺めた



いつも見掛ける白い猫も変わらず同じ路上にいて

仕事へ向かう忙しそうなおじさんともすれ違った


変わったことといえば辺りの木々が秋の色になってきたくらいだろうか


長く続くゆるい坂道をのぼりながらあまり中身の入っていない鞄を持ちなおした




坂をのぼりきりいつもと同じ道へ
右へ曲がった


そこで一生忘れることのない出会いをするなんて思いもせず