戦えよウルトラ・マンタロウ
怪鳥カラス? 12-2

子カモは、ピーピーとけなげに鳴いている。母カモを呼んでいる。怪鳥カラスの黒い羽が、散乱している。子カモは、ゲップをした。

右手の羽で、爪楊枝を使って歯を磨いている。どうやら、子カモが、怪鳥カラスと子カラスを全部食べてしまったようだ。

怪鳥はカラスではなく、「子カモ」だった。とてもじゃないが、セイコは子カモを退治するだけの度胸はなかった。できない。愛らしさに負けた。ニコっ。

でも、今退治しなければ、成長した時、「怪鳥カモ」は人間を食べてしまうかもしれない。危険だ。でも、倒す勇気がない。困ったぞ。どうしよう。

ところが突然、ドーンという爆音とともに、そのカラスの巣が押しつぶされた。周囲の雑木林がなぎ倒された。土ホコリが舞った。

一瞬の出来事で、セイコは理解できなかった。子カモは、あっという間につぶされて死んでしまった。これで、退治された。

土ホコリが止んだ。セイコは、目を疑った。巨大化したマンタロウが、尻モチをついていた。着地に失敗したようだ。腰を右手で抑えて、痛がっている。イッター。

これで日本は、平和になったとさ。良かったね。


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