戦えよウルトラ・マンタロウ
怪獣キョウフ。22-2
東京、品川駅前。

両耳を抑えて地面にうずくまり、ブルブルと怯えている。情けない。戦うことができない。もう、誰も怪獣キョウフを倒す相手はいなくなった。

そんな時、怪獣キョウフの携帯電話がまた鳴った。怪獣キョウフは、携帯電話を手に持った。耳に携帯電話を当てた。怒鳴り声が聞こえた。

遠く離れた場所で避難していた市民の耳にも、その怒鳴り声が届いた。それは、怪獣キョウフの女房からだった。

女房「あなたー。そんなところで、何をしているのよ。早く、帰ってきなさいよー。子供たちの面倒を見る、約束でしょーっ! お風呂に、入れなさいよっ」

怪獣キョウフは、ビビッている。ブルブルと、全身が震えている。冷や汗をかいている。顔が青くなって、今にも倒れそうだ。

「ハイ、ハイ…」と何度もうなずき、そうして、渋々と空を飛んで帰っていくのであった。怪獣女房には、かなわないようだ。

これで、街は救われた。マンタロウはウンチ座りになって、タバコを吸い始めた。落ち着きを、取り戻しているようだ。スッキリ。

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