戦えよウルトラ・マンタロウ
怪獣コワイゾ。23-1
千葉県、成田空港。早朝。

怪獣コワイゾが、暴れている。この怪獣は、韓国俳優が成田空港にやって来た時、思いを告げられずに、心臓発作で亡くなったおばさんだった。周りのおばさんたちに、踏みつけられて死んだという噂もある。

口から光線を吐いては、空港を訪れた利用者の心の中に恐怖を、特にトラウマ(心的外傷)を植えつけている。

過去の、忘れてしまいたい出来事を思い出させては、庶民を苦しめて楽しんでいる。最低の怪獣だ。

そこへ、缶ビールを飲みながら、ママチャリに乗ってマンタロウがやってきた。酔っ払っている。朝まで、居酒屋で悪友たちと飲んでいたみたいだ。

成田空港周辺では、マンタロウといえども上空を飛ぶことが許されていない。まして、酔っ払い飛行はなおさら許されない。ヒック。

マンタロウは巨大化して、怪獣コワイゾと立ち向かった。怪獣とはいえ、相手は女性だ。おばさんだ。

しかし、今は男女平等の時代だ、容赦はしない。マンタロウも、怒ったら怖いんだぞ。
だが、コワイゾ光線を浴びせられると、マンタロウはまたしても倒れた。ヨワヨワ。

幻覚を見せられた。マンタロウは幼少期、小さくて愛くるしいモンシロチョウに追いかけられてから、トラウマに陥っている。

それ以来、チョウチョが怖くてたまらない。地面にうずくまり、全身が震え鳥肌が立っている。もう、動くことができない。情けない戦士だ。時給はなしだ。

街が破壊されている。市民が、恐怖に震えている。もう、誰も怪獣コワイゾ女王を倒すことはできないのか。


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