戦えよウルトラ・マンタロウ
怪獣白い家。28
アメリカ。

アメリカに住む、イラム教徒のある男性から、マンタロウに依頼がきた。人を平然と食い殺す、怪獣「白い家」を退治してくれということだ。マンタロウは依頼に従い、巨大化して、空を飛びアメリカに向かった。ドバッと。

向かった場所は、ワシントン市北西区ペンシルヴェニア通り1600番地。

マンタロウは、その「白い家」の玄関前に降り立った。敷地が広大だ。広すぎる。カンフーの「鶴の舞」の形で戦う姿勢を誇示した。戦闘態勢に入った。

怪獣「白い家」は、全然動かない。マンタロウを攻撃する気配もない。困った。戦いにならない。しばし、ためらった。腰をおろし、草の上に座って考えた。

「この怪獣、どうやったら倒せるだろうか…?」

この家の住人、「ボス」がいる。怪獣白い家に住む「ボス」を倒さない限り、依頼人であるイラム教徒を救うことができない。

だが、ボスは人間だ。怪獣白い家に、支配されているだけなのだ。人間を倒すことは、ウロトランの法律上許されない。規則に反する。

立ち上がり、股間に隠しておいたビームガンを、取り出した。チョット、もわっとして微妙に臭い。

マンタロウ「次のボスは、新しいボスが任命されるぞ、ビームっ!」
怪獣白い家に向けて、ビームを放った。

今のボスを殺せないが、変えることはできる。任期が切れたら、次は別なボスが就任するように仕向けた。

イラム教徒を殺害しない、ボスだ。このビームガンで成功する確率は、50パーセント。あとは運任せ、国民任せにするしかない。

そうしてマンタロウは、日本に向かって帰国するのであった。

このイラム教徒の依頼人は、本当はそのボスの死を願っていた「怪獣テロ」だった。

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