戦えよウルトラ・マンタロウ
怪獣ナマハゲ(マンタロウ・ベビー)。30-2
埼玉県、さいたま市。県営住宅。

その泣き声は、大きすぎた。あまりにも大きすぎた。耳のコマクが破れるほど、耳の穴に針を刺すほど、泣き叫んだ。超破壊的な超音波として、街中に泣き響いた。

それは、半径100メートルに存在する家や建物を破壊した。幸いなことに、柱・天井・壁・土台などは壊されていない。窓ガラスも壊れていない。外観は大丈夫だ。

しかし、室内の内装が吹き飛んでいる。室内だけが、竜巻にあったみたいだ。滅茶苦茶に壊されている。部屋中が散乱し、ゴミだらけになった。

それでも、不思議なことに誰1人として死んでいない。ベビーの住むこの県営住宅の室内も、破壊されている。

後片付けが大変だ。この場合、建物ごと破壊してくれたほうが、街を再生しやすい。困った能力だ。

ベビーの泣き声で、ナマハゲは、耳を両手でふさいで倒れてしまうのであった。泡を吐いて、気絶してしまった。泣き声は、特に怪獣の身体細胞には劇的に影響を与えるようだ。

街にあった建物は、ベビーの大きな泣き声で、みんなもろくも破壊されてしまった。壊滅状態だ。

でも人間や動物たちは、一瞬の衝撃波を受けるだけで、コマクは破れることはなかった。あとは、平然と生きている。

地球の生命体には、影響がないようだ。ベビーは、何事もなかったかのように、すこやかに眠りにつくのであった。

マンタロウ「1匹の怪獣よりも、破壊力があるじゃねえかよ」

ベビーは、「ウルトラ・マンジロウ」と名づけられた。ここに、新たなウルトランの戦士が誕生した。

モビルスーツを着させれば、泣き声をコントロールできるだろうか。でも、子供用のスーツはまだ販売されていない。

ウルトランの法律で、禁止されている。それまで市民は、みんなガマンしよう。



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