戦えよウルトラ・マンタロウ
怪獣西朝鮮(窓ガラス編)。37

埼玉県、さいたま市。県営住宅。真夏。夜。

家賃3万円、2LDKの5階建ての県営アパート。マンタロウが、ポテトチップスを食べながら、お笑いのテレビ番組を見ている。ゲラゲラと、笑っている。窓が締め切られている。クーラーが効いていて、室内は涼しい。

防衛省から提供された、最新式の「ミサイル探知装置」が家の中にある。監視衛星と、直通でつながっている。しかしその装置でかすぎて、隣の人に引っ越ししてもらった。

監視衛星がミサイル発射を捕捉すると、真っ先にマンタロウの家に届くようになっている。ピーポーピーポー。即座に連絡が入った。スクランブル発進だ。すでに、発射から1分が経過している。

トモコ「あなた、急がないと、日本が危ないっ」

マンタロウ「よっしゃ、行ってくるぞ」。ドバッと。

マンタロウは、慌てて窓も開けずに飛び立った。ガシャン。当然ながら、窓ガラスは割れた。頭を打った。痛い。頭から、血を流した。とてもじゃないが、空を飛べる状態ではない。

トモコは、電話で救急車を呼んだ。マンタロウは、救急病院に運ばれて治療をうけるのであった。マヌケ。

その間に、ミサイルは日本本土を越えてしまった。太平洋に落下した。不発だ。怪獣西朝鮮の、単なる実験でよかったね。

マンタロウ、そのぐらいの練習はしておけよ。

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