水月蝶
大分時間が経ってやっと綺麗になってきた。

廊下や校庭からは声が聞こえなくなって、皆帰ったようだ。

外も薄暗くなってきて・・・。

どうしよ・・・暗いの嫌いなんだよなぁ・・・。

ついでにこの沈黙も・・・。


空は黙々と整理をしていて・・・ちょっと気まずい・・・。

何か喋ろう・・・。

「ねぇ??空くんって婚約者いるんでしょ??」

「うん。」

「可愛い??」

「うん。」

何・・・??

何で”うん”しか言わないの!?

この沈黙嫌じゃないわけ!?

「婚約者の事好き??」

「・・・うん。」

空はそう言うと顔を赤らめた。

可愛い・・・カモ・・・。

でも・・・苦しい・・・。やっぱり好きな人に振り向いてもらえないって・・・。

「そっか♪どんな子か見てみたいなぁ!!空くんが好きになるくらいだもんねっ!!」

私は泣きたいけど、堪えて明るく言う。

「たまに門のとこにいると思うから今度見てみれば??」

「そうだねっ♪」


そしてやっと整理が終わった。

外は真っ暗・・・。

先生たちはまだ会議をしているみたいだけど・・・怖いよ・・・。

「送ってこうか??」

思いがけない言葉・・・。

「えっ!?」

「暗いし、危ないでしょ??一人歩いてたら何があるかわかんないし。」

「でも婚約者さん怒るでしょ??」

「あいつは気にしないから大丈夫。」

「じゃあお願いします・・・。」

ある意味ラッキーかも・・・。

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