恋しても良いですか?
【3】強がり。
その後、電話したらやっぱり仕事で、すぐに早退した。
それから、結構仕事が忙しくて、なかなか学校に行かない日が続いた。
体調が悪かったのもあって、仕事が休みの日には、大事をとって休んだり…。
2ヶ月くらいして、久しぶりに学校に行くと、目立たないように教室に入り、席に着いた。
でも、何故か私の席以外替わってるようで、南郷が隣になっていた。
「碧井さん、おはよう。」
そう挨拶されたけど、返せなかった。
その後すぐに南郷は友達と再び会話を始めたので、私は気にしないようにした。
昼休み…ちょっと暑いけど、教室に居づらくて屋上に移動した。
すると、少ししてまた南郷も屋上に来て、『暑いね。』なんて言いながら、普通に私の前に腰かけた。
「最近学校来てなかったけど、どうかしたの?
具合悪かったとか??」
「別に。
ただ、面倒くさかっただけ。
義務教育じゃないんだし、来る来ないは私の自由でしょ?」
「そうだけどさ。
一応親に学費払ってもらって、学校に通えるわけだしさ。」
南郷はそれが当たり前のようにそう言った。
でも、私達兄妹はそうじゃない。
パパもママももう居ない。
それを思うと、やっぱり亡くなってから何年経ってても辛くなる。
でも、数年のうちに誤魔化す事がとても上手くなってしまった。
私の親の事をこいつは知らない。
「南郷、」
「うん、何??」
「やっぱり何でもない。
私、先行くから。」
親が居て、学費を払ってもらえるのが当たり前じゃない事、南郷に言おうとしたけど、不幸自慢のようになってしまうのが嫌でやめといた。