恋しても良いですか?
【6】義務と周りへの想い。
「李緒ちゃん。
最近、心臓の痛み強くなってない?
痛くなる事も多くなってない??」
主治医の村瀬先生がそんな事を聞いてきた。
「いえ、別に。」
「はぐらかさないで。
これは本当に大事な事だから。
痛み止め、ちゃんと効いてる?」
村瀬先生は、真剣な顔で再度聞いてきた。
「…確かに痛くなる事は増えてる気がします。
でも、まだ痛み止めが効くうちは……いや、もう止められないんだとしても、私は入院しません。
何があっても、私は前に進み続けなきゃいけないんです。」
村瀬先生の言おうとしてる事は何となく分かってる。
私は医者じゃないけど、これは私の身体の事だから。
それにもう…初めて自分の病気について聞かされた時から、あの全てが止まったように感じた瞬間から、こうなる事もこれからの事も覚悟はしてる。
けど、思ったよりも病気が私の心臓を蝕むのが早かっただけ。
…ただ、それだけ……。